AIが増えても仕事が減らない問題 —— Googleの「Gemini エージェント」の仕組みと、dots・Claudeとの違い

AIが増えても仕事が減らない問題 —— Googleの「Gemini エージェント」の仕組みと、dots・Claudeとの違い

メールのAI、表計算のAI、チャットのAI、画像のAI、コードのAI。仕事にいくつものAIを使っているのに、仕事は一向に減らない。AIの答えを別のAIに書き写し、AIごとに事情を説明し直すうちに、気づけば人のほうが「AIの世話係」になっている――。

Google Cloudが2026年10月8日(米国時間)の「Gemini at Work 2026」で発表した「Gemini エージェント」は、この問題に対し、仕事の窓口を1つにまとめることを目指しています。本記事では、指示ではなく目標を渡す使い方、裏側で手分けするサブエージェント、ツール・スキル・4種類の記憶、仕事ごとにモデルを選ぶ仕組み、自分のメールアドレスを持つ「同僚エージェント」、会社が安心して任せるためのID・権限・記録・関所(Agent Gateway)・費用の上限を、お店の例を交えて解説します。さらにOpenAIのdots、AnthropicのClaude(Cowork)と比べ、まだ一部の会社で先行している段階であることなどの注意点も整理します。

情報は2026年10月10日時点のものです。料金・提供範囲・数値は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。

▶ 解説動画(本編)
YouTubeで開く ↗
チャプター(クリックで再生位置へ移動)
この記事のポイント
  • Gemini エージェントは、目標を渡すと計画・手分けして完成品を返す、仕事の窓口を1つにするAI。
  • ID・権限・記録・関所(Agent Gateway)で、会社が管理できるように作られている。
  • dotsは個人の秘書、Claudeは作業の相棒に近い。Geminiはまだ一部の会社で先行している段階。

基礎知識:Google「Gemini エージェント」の仕組み

会社の中で「メール用のAI」「表計算用のAI」「コード用のAI」と道具が増えるほど、人がAIの間でデータをコピーして運ぶ「AIの世話係」になってしまう問題が目立ってきました。Google Cloudが2026年10月8日に発表した「Gemini エージェント」は、細かい手順の指示ではなく仕事の目標を渡すだけで、裏側で複数のサブエージェントを編成し、Google WorkspaceやMicrosoft 365、Slackなどをまたいで完成品を返す、業務向けの汎用エージェントです(いまは限定プレビュー)。

特徴は、100以上の業務ツールとの連携、仕事の手順書である「スキル」、4種類の記憶(セッション記憶・意味記憶・手続き記憶・エピソード記憶)、そして仕事に合わせたモデルの選択(GeminiのほかAnthropicのClaudeも。他社のモデルの選択は早期アクセス)を、1つの窓口にまとめている点です。

さらに、自分のメールアドレス・カレンダー・ドライブを持ち、チームのチャットや文書のコメントで人と一緒に働く「同僚(コワーカー)エージェント」の機能や、会社の側で全エージェントのID・権限・操作の記録・通信の境界(Agent Gateway)・費用の上限をまとめて管理する仕組みが組み込まれています。

主要キーワード・技術用語の定義
サブエージェント
親のエージェントが目標を分解し、調査・資料づくり・集計などの小さな仕事ごとに一時的に立ち上げる専門のエージェント。それぞれが固有のIDを持ち、並行して作業する。
同僚(コワーカー)エージェント
個人の裏方ではなく、自分のID・メールアドレス・カレンダーを持ち、会社の権限のルールのもとで、チームの人と直接やりとりしながら仕事を担当するAIエージェント。頼んだ人ではなく自分のIDで動く。
Agent Gateway
AIエージェントが社内のデータや外部のサービスにアクセスするときの通信を、まとめて検査・制御する関所。「社外秘の書類は開かない」といったルールを1回書けば、すべてのエージェントに効く。

AIが増えても仕事が減らない

お店で使っているAIの例(イメージ)

要点

自社ショップのAI(イメージ)

メール

注文を読む

表計算

数を数える

チャット

相談する

画像

チラシを作る

コード

ページを直す

たとえば、デパートの物産展にも出店しているお店で、注文を読むメールのAI、数を数える表計算のAI、相談するチャットのAI、チラシを作る画像のAI、ページを直すコードのAIと、5つのAIを使っているとします(イメージ)。便利そうに見えますが、仕事はむしろ増えているかもしれません。

人がAIの間を運んでいる

流れ

担当者の毎日(イメージ)

メールのAIが読む
担当者が書き写す
表計算のAIへ

メールのAIが読んだ内容を人が書き写し、表計算のAIに渡す。このとき人は、AIを使っているというより、AIの間を行き来する世話係になっています。Googleが10月8日に発表した「Gemini エージェント」は、まさにこの状態を変えることをねらっています。[s1][s3]

モデルとエージェントの違い

要点

モデルとエージェント

モデル
モデル

考える頭脳(Argon など)

エージェント
エージェント

頭脳を使って仕事を進める係

なお、Gemini 4 Argonのような「モデル」は考える頭脳にあたり、今回の「エージェント」は、その頭脳を使って仕事を進める係です。[s2]両者は別のものとして理解しておきましょう。

AIが増えると何が困るのか

要点

AIが増えると困ること

毎回説明

お店の事情を、AIごとに伝え直す

人が運ぶ

AIの答えを、別のAIへ書き写す

見えない

どのAIが何をしたか分からない

AIが増えると困ることは、3つに整理できます。AIごとに事情を説明し直さなければならないこと、あるAIの答えを人が別のAIへ運ぶこと、そして、どのAIがいつ何をしたのかが分からなくなることです。

要点

Google が言う問題(製品ページより)

いま

人が、たくさんのAIを管理する

これから

AIが、仕事をまとめて進める

Google自身も、人がたくさんのAIを管理する側になってしまっていると指摘しています。[s4]そこで、仕事の窓口を1つにまとめ、AIがまとめて仕事を進めるようにしよう、というのが今回の発表です。[s1]

Gemini エージェントとは

整理カード

Gemini エージェント

Google Cloud の仕事用のAIエージェント

発表 2026年10月8日(米国)
場 Gemini at Work 2026
できる 質問・事務・画像・コード
使う所 Workspace・Slack など
相手 会社やチーム

出典: Google Cloud 公式ブログ

Gemini エージェントは、Google Cloudが発表した仕事用のAIエージェントです。[s1][s2]質問に答える、調べて資料にまとめる、画像を作る、コードを書いて動かす、といったことを、1つのエージェントと1つのAPIでこなすことを目指しています。[s1]

指示ではなく、目標を渡す

比べる

指示ではなく、目標を渡す

いつものAI
いつものAI
  • 1つずつ指示する
  • 答えが返ってくる
VS
Gemini
Gemini
  • 目標を渡す
  • 完成品が返ってくる

キーワードは「指示ではなく、目標を渡す」です。[s1]「メールを書いて」「表を作って」と1つずつ頼むのが指示で、「物産展の準備を進めて」と結果を頼むのが目標です。目標を受け取ったGeminiは、自分で計画を立て、道具を使い、ふだん使っている文書やメールの中に完成品を返します。[s1]

どこからでも頼める

要点

どこからでも頼める(Google の発表)

ウェブ

ブラウザから

スマホ

iPhone・Android

Workspace

メールや文書の中

ほかの道具

Slack・365

頼む場所は、ブラウザ、スマホ、パソコンのアプリのほか、Workspaceのメールや文書の中、SlackやMicrosoft 365の中からも選べます。[s1]

1つの窓口の裏側

サブエージェント

要点

サブエージェント(Google の発表)

一時的

その仕事のためだけ

固有のID

1人ずつが持つ

並行して

何時間・何日も

1つの窓口の裏では、大きな仕事を、その仕事のためだけの「サブエージェント」に手分けさせています。部下というより臨時のチームに近く、それぞれが自分のIDを持ち、並行して何時間でも何日でも作業を続けます。[s1]

クラウドで動く

要点

クラウドで動く(Google の発表)

クラウド

Google のクラウドで動く

閉じても

何時間・何日でも続く

記憶は1つ

どこから使っても同じ

仕事はGoogleのクラウドで動くため、パソコンを閉じても続きます。スマホから頼んでも、パソコンから頼んでも記憶は1つなので、説明し直す必要がありません。[s1]

Geminiを支える3つの部品

要点

Gemini を支える3つ

ツール

会社の道具とつなぐ

スキル

仕事のやり方の手順書

記憶

4種類の記憶

Geminiを支えるのは、ツール・スキル・記憶の3つの部品です。ツールは、メールや表計算、販売管理など会社の道具とつなぐ部品で、Googleは100以上の連携があると説明しています。[s2][s4]スキルは仕事のやり方の手順書で、チームで作って会社で共有することもできます。[s1]

4種類の記憶(お店の例・イメージ)

整理カード

4種類の記憶

和菓子ECショップの例(イメージ)

作業中 物産展の準備:ブースの申しこみまで済んだ
知識 看板は抹茶大福。物産展は毎年10月
やり方 値段は税込み。チラシはブランドカラー(深緑)
したこと 去年の物産展のチラシを作った

記憶の種類は Google の発表、中身はイメージ

記憶は4種類あります。何日かかっても作業の進み具合を覚えておくセッション記憶と、読んだ文書や人とのやりとりから作る知識の記憶(意味記憶)。さらに、自分で書いたスキルも含む仕事のやり方の記憶(手続き記憶)と、これまでにしたことの記憶(エピソード記憶)です。[s2]Googleは、Geminiが新入社員のように自分で仕事を覚えるとも説明しています。[s1]

仕事ごとにモデルを選ぶ

要点

仕事に合わせてモデルを選ぶ(Google の説明)

むずかしい

大きなモデルで正確に

かんたん

小さく速いモデルで安く

もう1つの特徴は、頭脳にあたるモデルを仕事ごとに選ぶことです。難しい仕事は大きなモデルで正確に、簡単な仕事は小さく速いモデルで安く済ませます。Googleは「いちばん大きいモデルが、いつもいちばん合うとは限らない」と説明しています。[s1]

使えるモデル

要点

使うモデル(Google の発表)

Gemini
Gemini

Google のモデル

Claude

Anthropic のモデル

これから

ほかの会社・オープン

使えるのはGoogleのモデルだけではなく、AnthropicのClaudeも使えると発表されました。将来はほかの会社やオープンなモデルにも広げる予定です。モデルが入れ替わっても、記憶やスキルはそのまま使い続けられるという考え方です。[s1]

ただし製品ページによると、ほかの会社のモデルを選べるのは、いまは早期アクセスの段階です。[s4]すべての会社がすぐにClaudeを選べるわけではない点に注意しましょう。

お店で使うと(イメージ)

打ち合わせを設定する

打ち合わせを入れる(イメージ)
入力
いつもの物産展のメンバーと、来週打ち合わせを入れて
AIの答え
前回の物産展のチャットから、パートの3人とデパートのご担当を見つけました
AIの答え
全員の予定から、火曜15時を候補に、日程調整のメールを始めます

※やりとりはイメージです(Google が発表で紹介した例をもとに作成)

お店で使う場面を考えてみます。来月の物産展の準備で、パートの3人とデパートの担当者と打ち合わせをしたいとします。「いつもの物産展のメンバーと、来週打ち合わせを入れて」と頼むだけで、Geminiは名前もアドレスも書いていないのに、前回の物産展のやりとりからメンバーを見つけます。そして、カレンダーで空いている時間を確かめ、社外の人も含めて日程調整のメールを始めます。[s2]これは、Googleが発表で見せた会議の例を、お店に置き換えたイメージです。

売る数の資料をつくる

流れ

売る数の資料(イメージ)

去年の売上を調べる
表で数を計算する
スライドにまとめる

「去年の売上から売る数を考えて、資料にして」と頼めば、売上を調べ、表で計算し、スライドにまとめるところまで進めます。途中でお店の事情を説明し直す必要はありません。[s2]

任せられる仕事を見つける

任せられる仕事を見つける(イメージ)
状態
デパート:最新の準備状況を、スライドでいただけますか
AIの答え
この依頼は、私に任せられます。スライドの下書きを作りますか?
入力
お願いします! 送る前に見せてください

※やりとりはイメージです(Google が発表で紹介した例をもとに作成)

先回りの提案もあります。デパートから「最新の状況をスライドで」というメールが届くと、Geminiは任せられる仕事だと見分け、ワンクリックで渡せる選択肢を出します。[s1][s2]ただし、送る前に確かめるのはお店の人の仕事です。

自分のメールを持つ同僚エージェント

同僚エージェントが持つもの

要点

同僚エージェントが持つもの(Google の発表)

メール

自分のアドレス

予定表

自分のカレンダー

ドライブ

自分の保存場所

名簿

社内の名簿に載る

もう1つ新しいのが、同僚(コワーカー)のエージェントです。「物産展の係」のように役割を説明すると作られ、自分のメールアドレス・カレンダー・ファイルの保存場所を持ち、社内の名簿にも載ります。[s1][s2]チャットのグループに入れて、ほかの人と同じように仕事を頼めます。[s1]

文書のコメントで頼む(イメージ)

ドキュメントのコメントで(イメージ)
入力
@物産展係 チラシの値段を、税込みに直して
AIの答え
税込みの値段に直す提案をしました
状態
変更の履歴:物産展係 が編集を提案

※画面はイメージです(Google の発表の例をもとに作成)

文書のコメントで呼び出すと、自分の名前で修正を提案し、変更の履歴にもその名前で残ります。[s2]大事なのは、頼んだ人ではなく自分のIDで動き、共有されたものだけを見ることです。[s1]

要点

同僚の形でも、AIはAI

責任

だれが持つかは人が決める

とはいえ、同僚の形をしていても、AIはAIです。誰が責任を持つかは、人が決めておく必要があります。なお、料金や多くの機能の提供日は、まだ発表されていません。[s14]

会社が安心して任せるための仕組み

エージェントを任せる前の4つの問い

判断ガイド

エージェントを任せる前の4つの問い(Google)

だれ?
固有のID
社員のように
何をしていい?
役割ごとの権限
管理者が承認
何をした?
操作の記録
AIのしたこと
触れちゃダメ?
関所
ルールで止める

出典: Google Cloud Blog(2026年10月)

Googleは、会社がエージェントに仕事を任せるときの4つの問いを挙げています。[s2]1つ目は「誰か」で、エージェントごとに暗号で確かめられるIDを持たせ、社員のように管理します。2つ目は「何をしてよいか」で、役割ごとの細かい権限を会社の管理者が承認します。3つ目は「何をしたか」で、すべての操作が、人ではなくエージェントのしたこととして記録されます。[s1]

記録を残すのは、誰かのせいにするためではなく、何が起きたかを確かめるためです。4つ目の「何に触れてはいけないか」に答えるのが、Agent Gatewayです。[s1]

囲いと関所

すべてのエージェントは、ネットワークの境界を持つ囲い(Agent Sandbox)の中で作業し、出入りはすべて関所(Agent Gateway)を通ります。[s1]たとえば「社外秘の書類は開かない」というルールを1回書けば、すべてのエージェントに効きます。[s2]

費用の上限

要点

費用の上限(Google の発表)

上限を決める

プロジェクトごと

止まる

上限でひと休み

再開

ボタン1つで続き

お金の使いすぎも防げます。プロジェクトごとにAIの費用の上限を決めておくと、上限に達したところでエージェントがいったん止まり、ボタン1つで再開できます。[s2]また、会社のデータはGoogleやほかの会社のモデルの学習には使わないと説明されています。[s4]

dots・Claudeと比べると

3つに共通すること

要点

3つに共通すること

クラウド

PCを閉じても続く

手分け

サブエージェント

記憶

やりとりを覚える

同じような常時稼働のエージェントとして、OpenAIのdotsや、AnthropicのClaude(Cowork)があります。[s5][s9]3つに共通するのは、クラウドで動いてパソコンを閉じても仕事を続けること、大きな仕事を手分けすること、記憶を持つことです。[s1][s5][s9][s10]

ひと言でいうと(本記事の整理)

要点

ひと言でいうと(動画の中での整理)

会社の同僚
会社の同僚

Gemini エージェント

自分の秘書
自分の秘書

OpenAI dots

作業場の相棒
作業場の相棒

Claude(Cowork)

違うのは、誰のためのAIか、そして誰がルールを決めるかです。本記事なりに整理すると、Geminiは会社のルールのもとでチームの中で働く「同僚」です。dotsは自分専用のクラウドのパソコンで先回りして気づいてくれる「秘書」、Claudeは手元のファイルやブラウザまで使って作業を仕上げる「相棒」に近い存在と言えます。[s1][s5][s9]

3つの比較(2026年10月10日時点)

比較表

3つをくらべると(2026年10月10日時点)

項目GeminiGeminidotsdotsClaudeClaude
主な相手会社のチーム自分専属自分の作業
動く場所クラウド専用のクラウドPCクラウド+手元
ルール管理者が一括自分で4段階3つのモード
モデル仕事ごとに選ぶGPT-6 AstraClaude
記憶を消す期間は未公開dotごと1つずつ
使える人一部の会社で先行Pro など有料プラン

各社の発表・ヘルプセンターをもとに整理

表で比べると、主な相手は、Geminiが会社のチーム、dotsとClaudeはまず自分の仕事です。Claudeはクラウドに加えて、アプリを通じて手元のファイルにも届きます。[s1][s5][s9][s10]ルールは、Geminiでは会社の管理者がまとめて決め、dotsは自分で4段階のルールを決め、Claudeは確認のしかたを3つのモードから選びます。[s1][s7][s9]

モデルは、Geminiが仕事ごとに選ぶのに対し、dotsとClaudeは自社のモデルを使います。記憶は、Claudeは1つずつ消せ、dotsはいまはdotごとのリセットだけで、Geminiの記憶の保存期間は公開されていません。[s1][s5][s8][s9][s11]使える人は、dotsとClaudeが個人の有料プランから、Geminiはいまは一部の会社で先行している段階です。[s7][s9][s13]

3つを同じ条件で比べたテストは公開されていないため、どれがいちばん優れているかは決められません。誰のために、どこで使うかで選ぶのが現実的です。

気をつけること

すべてはまだ使えない

気をつけたいことは3つあります。1つ目は、発表の多くがまだ「近日」で、いまは一部の会社だけの限定プレビューだということです。[s13]製品ページにも、すべての機能がいま使えるわけではないと書かれており、長い作業やスマホ、ほかの会社のモデルの選択は早期アクセスです。[s4]

Googleが紹介した日本の事例

数字

Google が紹介した日本の事例(会社の発表)

45万 時間
ドコモで生まれた時間(年)
1万 超
SOMPOのエージェント
200 超
日立の使い道

2つ目は、事例の数字が会社の発表だという点です。Googleは日本の例として、NTTドコモで年45万時間を生み出したことや、SOMPOの1万を超えるエージェント、日立の200を超える使い道を紹介しています。[s1]ただし、分析会社によると、これらの多くは以前からのGemini Enterpriseの成果であり、今回の新しいエージェントの成果ではありません。[s14]

人が確かめてから

要点

人が確かめてから

送る

メール・資料

消す

データ・ファイル

払う

注文・支払い

3つ目は、任せすぎないことです。AIは間違えることがあり、メールにまぎれた悪い指示にだまされることもあります。メールを送る、データを消す、お金を払う、の3つは人が確かめてから行いましょう。また、1回の質問ならいつものチャットのAIで十分で、エージェントが向いているのは何日もかかる仕事や、アプリをまたぐ仕事です。

使う前に決めておくこと

手順

使う前に決めておくこと

STEP 1
任せる仕事を書き出す

くり返す・アプリをまたぐ仕事

STEP 2
読むだけから始める

調べる・まとめる・下書き

STEP 3
人が確かめる所を決める

送る・消す・払うの前

STEP 4
1件ごとに比べる

かかった時間とお金

会社やお店で使うときは、まず任せたい仕事を書き出しましょう。毎週くり返す仕事や、アプリをまたぐ仕事が向いています。次に、調べる・まとめる・下書きを作るといった読むだけの仕事から始めます。そして、送る前・消す前・払う前といった、人が確かめる場所を決めておきます。最後に、1件の仕事にかかった時間とお金を、いまのやり方と比べて判断します。

まとめ

Gemini エージェントは、目標を渡すと、計画を立てて手分けし、完成品を返すAIです。[s1]IDと権限と記録、そして関所の仕組みで、会社が管理できるように作られています。[s1][s2]

似たエージェントとして、個人の秘書に近いdotsや、作業の相棒に近いClaudeもあります。Geminiはまだ一部の会社で先行している段階なので、提供の状況と料金を確かめながら、任せる仕事と人が確かめる場所を先に決めておくことが大切です。[s13]

実践のポイント・まとめ

POINT 1

AIが多すぎて仕事が減らない

いくつものAIの間を人が行き来していると、人がAIの世話係になってしまいます。Gemini エージェントは目標を渡すと計画を立てて手分けし、完成品を返すAIです。ただし、いまは一部の会社で先行している段階です。

POINT 2

Gemini エージェントとは結局何か

仕事の窓口を1つにまとめるGoogleのAIエージェントです。自分のIDで動き、共有されたものだけを見る「同僚エージェント」も作れます。いまは一部の会社で先行中で、料金もまだ発表されていません。

POINT 3

AIエージェント3つはどう違う?

Geminiは会社の同僚、dotsは個人の秘書、Claudeは作業の相棒に近い存在です。同じ条件で比べたテストは公開されていないので、誰のために、どこで使うかで選びましょう。

POINT 4

Geminiの中身はすべてGemini?

限りません。Gemini エージェントは仕事に合わせてモデルを選び、AnthropicのClaudeも使えると発表されています。ただし、ほかの会社のモデルはいまは早期アクセスです。モデルが替わっても、記憶やスキルはそのまま使えるという考え方です。

出典・参考文献

検証ファクト一覧を表示する(全52項目)
ID 確認した事実・仕様 出典 注意・補足
F1 2026年10月8日(米国時間)、Google Cloud が「Gemini at Work 2026」で「Gemini エージェント」を発表。CEO の Thomas Kurian の基調講演。日本語の抄訳は10月9日 [s1] [s2] [s3]
F2 「業務のための、ひとつの汎用的なエージェント」。質問への回答・ナレッジワーク(事務・調べもの)・画像やメディアの作成・コードを書いて実行、を1つのエージェント・1つの API で [s1] [s2]
F3 「指示ではなく目標を与える」。結果を任せて、完成したものを受け取る。作業を計画し、スキルとツールを使い、会社のシステムにつないで、ふだん使うドキュメント・受信トレイ・開発環境の中に完成品を返す [s1] [s2]
F4 個人のアシスタントとしても、チームの一員(プロジェクトマネージャーのように)や、組織の役割(財務部のアナリストのように)としても働く [s1] [s2]
F5 チャットで答える/目標を任せて自律的に進める/コードを作る、を1つの画面から。仕事の割り当て・スケジュール・できごと(イベント)への反応もできる [s1] [s2]
F6 使える場所:Web、iOS・Android、Windows・Mac、コマンドライン、Google Workspace、Microsoft 365、Slack。ほかのアプリにも組み込める(画面なしでも動く) [s1] [s2]
F7 Google の発表:過去1年で約500社がそれぞれ1兆トークン超を処理。Google Cloud の顧客の約80%が AI 製品を使い、Fortune 100 の約90%が Gemini Enterprise を使っている [s1] [s2] 会社の発表
F8 クラウドで動き、どの端末・どこから使っても、記憶・文脈は1つ。何時間・何日もかかる仕事も、PC を閉じたあとも続く [s1] [s2] [s4]
F9 複数の手順の仕事では、その仕事のためだけの一時的なサブエージェント(それぞれ固有の ID)を作り、並行・順番に進めさせる。何時間・何日も続けられる [s1] [s2]
F10 ツール:Confluence、Microsoft Office、Teams、Slack、Workspace、Git、Jira、Salesforce、ServiceNow、BigQuery、Databricks、Postgres、Snowflake、デスクトップのファイルなどにつなぐ。社内外の MCP サーバーにも。会社でツールを公開する登録所(ツール レジストリ) [s1] [s2]
F11 製品ページ:100 以上の連携(Workspace、Microsoft 365、Slack、Confluence、Notion、Jira、GitHub、Salesforce、ServiceNow、BigQuery など)。データを Google に移す必要はなく、元の場所のまま、各ユーザーの権限に従う [s4]
F12 スキル:仕事のやり方の手順書(指示・知識・流れ)。Google が用意したライブラリ、チームで作って会社で共有するスキル、自分だけのスキル。適したスキルとツールを選び、実行のたびに学ぶ [s1] [s2]
F13 記憶は4種類:セッション記憶(目の前の作業。何日続いても)・意味記憶(読んだ文書や人とのやりとりから作る、整理された知識)・手続き記憶(仕事のやり方。自分で書いたスキルも)・エピソード記憶(これまでにしたことすべて) [s2] [s4]
F14 「新入社員のように」自分でオンボーディングし、作業の前にユーザー・ツール・チームを学ぶ [s1] [s2]
F15 モデルの選択:エージェントと、その下で動くモデルは別。仕事ごとに合うモデルで動かす。現時点では Gemini と Anthropic の Claude、将来はほかの主要なモデル・オープンなモデルも。「いちばん大きいモデルが、いつもいちばん合うとは限らない」。むずかしい仕事は正確に、かんたんな仕事は安く [s1] [s2]
F16 Google のモデル:Argon(最先端の推論)、Flash(速さと量)、Omni(画像・動画などの生成)、Gemma(軽いオープンなモデル) [s1] [s2]
F17 Gmail・ドライブ・ドキュメント・スライド・スプレッドシート・Chat・カレンダーの中で直接動き、どこでも同じ記憶・スキル・管理のルール [s1] [s2]
F18 例:名前もメールアドレスも言わずに「来週、いつもの地域イベント担当のメンバーと会議を設定して」と頼むと、チャットのスペースと前回のイベントのスレッドからメンバーを特定し、カレンダーを確かめ、社外の人も含めて日程調整のメールを始める [s2]
F19 例:市場の動向を調べ、スプレッドシートで数字のモデルを作り、両方を見せるスライドを作る。とちゅうでプロジェクトを説明し直さなくてよい [s2]
F20 先回りの提案:上司から「最新の状況をスライドで」とメールが来ると、任せられる仕事と見分け、ワンクリックで Gemini に渡せる選択肢を出す。受信トレイでも、最後に来たものではなく一番大事なメッセージを理由つきで示す [s1] [s2]
F21 コワーカー(同僚)エージェント:役割を説明すると作られる。自分の Workspace アカウント(メールアドレス・カレンダー・ドライブ・社内の名簿)を持つ。Chat のスペースに入れたり @ で呼んだりして、ほかの同僚と同じように頼める [s1] [s2]
F22 例:マーケティングの担当者が、Chat のグループでイベント係のエージェントに「発売の準備の文書」の下書きを頼むと、完成したらグループに投稿する。ドキュメントのコメントで呼ぶと、自分の名前で修正を提案し、版の履歴にもその名前で残る [s2]
F23 同僚エージェントは、頼んだ人ではなく自分の ID で動き、共有されたものだけを見る。アクセスはチームのいまの共有設定に従う。メールアドレスは @agents.company.com のような形 [s1] [s2]
F24 会社がエージェントを任せるときの4つの問い:だれ(どの ID)? 何をしていい(権限)? 何をした(どこで見られる)? 何に触れてはいけない? 前の3つは ID・ポリシー・監視、4つ目は Agent Gateway が答える [s2] 英語版。日本語版は4つの項目だけ
F25 ID:エージェントごとに暗号で確かめられる ID。社員のように管理し、必要最小限の権限。作業の記録と、コードを動かすための仮想マシンにもその ID が付く [s1] [s2]
F26 権限:役割ごとの細かい権限を、会社のセキュリティ管理者が承認。外のシステムにつなぐときは OAuth などの標準で ID を引き継ぐ [s1] [s2]
F27 監査:すべての操作が記録され、人ではなくエージェントのしたこととして残る。リアルタイムで見張り、おかしな動きに気づける [s1] [s2]
F28 すべてのエージェントは、ネットワークの境界を持つ Agent Sandbox(囲い)の中で作業する。出入りとエージェントどうしの通信はすべて Agent Gateway(AIのネットワークの関所=ファイアウォール)を通る。ルールを一度書けば全エージェントに効く。例:「Need to Know(知る必要がある人だけ)の書類は開かない」 [s1] [s2]
F29 費用:仕事に合うモデルを選ぶ(Smart Routing)。プロジェクトごとに AI の費用の上限を決めると、上限でエージェントが一時停止し、ワンクリックで再開できる。部署ごとに費用を分けられる [s2] [s4]
F30 データ:自社のデータ(プロンプト・出力・調整を含む)は、Google のモデルやほかの会社のモデルの学習に使わない。第三者に売らない。広告に使わない [s4] Google の説明
F31 製品ページ:「このページの機能のすべてが今すぐ使えるわけではない」。複数の手順のバックグラウンドの作業・モバイルとデスクトップ・ほかの会社のモデルの選択は早期アクセスで、近日すべての顧客に [s4]
F32 いまは限定プレビュー。Workspace の一部の Business・Enterprise プランの会社に「近日」広く提供 [s13] 報道
F33 始め方:Google Cloud の営業に問い合わせるか、Gemini Enterprise Plus を30日間無料で試す [s4] 新しいエージェントの機能がすべて入っているとは限らない
F34 料金と、多くの発表の一般提供の日付は公開されていない [s14]
F35 日立:HMAX で現場の作業員にエージェント。作業の前後にすべての工具や配線を写真で確かめる画像認識のエージェントなど、200を超える使い道 [s1] [s2]
F36 NTTドコモ:データのエージェントで、分析の結果を得るまでを2週間から即時に。年45万時間を生み出した [s1] [s2] 会社の発表
F37 SOMPO:3万4,000人の社員向けに1万を超えるカスタムのエージェント(文書の検索・要約など)。新しいモデルの開発を1週間から1日に [s1] [s2] 会社の発表
F38 これらの事例の多くは、新しい統合エージェントではなく、前からの Gemini Enterprise の導入の成果 [s14]
F39 2026年9月29日発表の「常時稼働のエージェント」。GPT-6 Astra を使う。1つずつ専用のクラウドのコンピューターとブラウザを持ち、PC を閉じても作業を続ける [s5] [s6] [s7]
F40 プラグインで4,000以上のアプリにつながる(OpenAI の発表)。ChatGPT・Slack・Teams・音声通話で話せる [s5] [s7]
F41 話しかけていない間も、接続したアプリを読み取り専用で調べて、役に立てることを探す(先回りのリサーチ) [s5] [s6]
F42 カスタムルールの4段階(確認なしで実行/事前承認済みなら実行/実行前に確認/本人に引き継ぎ)。送金・パスワード変更は本人へ。送信の前に自動レビュー [s6] [s7] [s8]
F43 記憶は ChatGPT のメモリと共有。いまは dot の個々の記憶を見たり消したりできない(消すには dot ごとリセット) [s7] [s8]
F44 Pro(日本は対象)・Business Premium で使える。最初の dot は追加料金なし。Enterprise はベータ。組織向けの「専門 dot」(固有の ID と認証情報)は企業の試験導入から [s5] [s7]
F45 Claude Cowork は、Claude Code と同じエージェントの仕組みを、コード以外の仕事に使えるようにしたもの。結果を伝えて離れると、完成した文書・整理したファイル・まとめた調査などが届く [s9]
F46 2026年10月6日から、Pro・Max の新しい Cowork の作業は Anthropic のサーバー(クラウド)で動く。PC を閉じても続き、予定の作業は端末がオフでも動く。Team・Enterprise のクラウドはベータ [s9] [s10]
F47 手元のファイル・ブラウザ・PC の操作は、デスクトップアプリを通して(アプリが開いている間だけ)。つないだフォルダだけ [s9] [s10]
F48 複雑な仕事は小さく分け、サブエージェントで並行して進める [s9]
F49 確認のしかたは3つのモード:手動(操作ごとに許可)・自動(読むだけの道具は許可、書く・消す道具は Claude が安全を確かめて判断。あやしいものは止める)・スキップ(確認なし)。ファイルを完全に消すときは必ず許可を求める [s9]
F50 記憶はチャットと共有。覚えたことは設定の「トピック」に一覧で出て、1つずつ直したり消したりできる(2026年8月25日から)。Team・Enterprise では記憶は最初オフ [s9] [s11]
F51 2026年9月16日から、Cowork とチャットを1つの Claude にした新しい体験を、Pro・Max から順に提供中 [s10] [s11]
F52 有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)で使える [s9]

※ Gemini エージェントの機能・提供の状況は、2026年10月10日時点の Google Cloud の公式ブログ(日本語の抄訳と英語の全文)・製品ページにもとづきます。発表の多くは「近日」提供で、いまは一部の会社で先行して使われている段階です(報道)。料金は発表されていません。

※ 「約500社が1兆トークン超」「顧客の約80%」「Fortune 100 の約90%」「100以上の連携」、NTTドコモ・SOMPO・日立の事例は Google の発表です。独立した検証は見つけていません。事例の多くは、新しいエージェントではなく前からの Gemini Enterprise の使い方の成果です(Futurum Group の分析)。日立の生産性の割合は、Google のブログの日本語版と英語版で食い違うため、本記事では使っていません。

※ 記事中のお店の例(AIが5つ、物産展の打ち合わせ、売る数の資料、デパートからの依頼、物産展係のエージェント、4つの記憶の中身)のやりとりや数値はイメージです。Google が発表で紹介した例をもとに作りました。

※ OpenAI dots は OpenAI の発表・ヘルプセンター(2026年9月29日〜)、Claude(Cowork)は Anthropic のヘルプセンター(2026年10月10日閲覧)にもとづきます。3つを同じ条件で比べた公開のテストは見つけていません。比べ方(同僚・秘書・相棒)は本記事の整理です。

※ ロボットのイラストはイメージで、Google・OpenAI・Anthropic の製品やロゴとは関係ありません。