AIに売上を聞いたら数が合わない理由 —— 言葉の意味をそろえる「オントロジー」入門

AIに売上を聞いたら数が合わない理由 —— 言葉の意味をそろえる「オントロジー」入門

AIに「先月、抹茶大福はいくつ売れた?」と聞いたら120個と返ってきた。でも実際は400個だった――。お店のレジ、ネットショップ、物産展と、売上の表ごとに商品の名前や数え方が違うと、AIは言葉を取り違えてしまいます。

本記事では、言葉の「種類・つながり・ルール」を決めた意味の地図である「オントロジー」の基本と、書いていないことまで導く「推論」、Googleの知識グラフや医療・金融・自動車での使われ方を紹介します。そのうえで、生成AIとの3つの組み合わせ方(言葉をそろえる・ルールで確かめる・作るのを手伝ってもらう)、用語集や文章検索との違い、注意点と始め方までまとめます。

情報は2026年10月3日時点のものです。料金・提供範囲・数値は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。

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この記事のポイント
  • オントロジーは、言葉の種類・つながり・ルールを決めた「意味の地図」。
  • 生成AIは推測が得意で、オントロジーは意味とルールが得意。組み合わせると強い。
  • AIに候補を出させ、人が確かめて決める。小さく始め、変更の記録を残す。

基礎知識:オントロジーと知識グラフ・推論の仕組み

社内のデータベースや表計算のシートをAIに読ませて売上や在庫を集計させるとき、システムごとに同じ商品が「抹茶大福」「まっちゃ大福」「Matcha Daifuku」と別の書き方になっていたり、「1個」と「1箱(6個入り)」の数え方が混ざっていたりすると、AIは確率的な推測に頼って、誤った集計を返してしまいます。

こうした言葉とデータの意味のずれを解決する情報科学の技術が「オントロジー」です。オントロジーは、ある分野の、概念の種類とその上下関係(クラス)、具体的な1つ1つのもの(インスタンス)、概念どうしのつながり(プロパティ)、そして満たすべきルール(例:「和菓子」と「飲み物」は両方にはなれない、「ネットショップの1箱=6個」)を、コンピューターが厳密に扱える標準の形式(RDF・OWL・SKOS・SHACLなど)で書いたものです。

確率で文章を作る生成AIと、ルールで意味と整合性を確かめるオントロジーを組み合わせれば、AIが集計や回答をする前に言葉の定義と換算のルールをそろえたり、AIの答えにルールとの矛盾がないかを自動で確かめたりできます。

主要キーワード・技術用語の定義
オントロジー
ある分野の「概念の種類」「概念どうしのつながり」「満たすべきルール」を、コンピューターが読める形ではっきり書いたもの。研究者グルーバーの「概念化の明示的な仕様」という定義がよく引かれる。
推論と矛盾の検出
「AはBの一種」「BはCの一種」という定義から、書いていなくても「AはCに含まれる」と機械的に導いたり、ルールに反するAIの分類の誤りを自動で見つけたりする仕組み。
文章検索(RAG)との違い
文章検索は「意味が似ている文章」を探すだけだが、オントロジーは「同じものか別のものか」「数え方をどう換算するか」「ルールに反していないか」をはっきりした決まりで扱える。

AIが売上を数え間違える

お店のAIに聞いた例(イメージ)

お店のAIに聞いてみた(イメージ)
入力
先月、抹茶大福はいくつ売れましたか?
AIの答え
レジの表によると

お店のAIに「先月、抹茶大福はいくつ売れたか」と聞くと、AIはレジの表をもとに「120個」と答えました(イメージ)。ところが、売上の表はレジだけでなく、ネットショップと物産展にもあります。

3つの売上の表(イメージ)

要点

3つの売上の表(イメージ)

抹茶大福

お店のレジ:120個

枝豆もち

ネットショップ:30箱

ZUNDA MOCHI

物産展:100個

しかも、表ごとに商品の名前が違い、ネットショップは個数ではなく箱で数えていました。AIは「抹茶大福」と書かれたレジの表しか数えなかったのです。誰も、3つが同じ商品だとAIに教えていなかったからです。こうした言葉の意味を、AIにも分かる形で決めておく方法が「オントロジー」です。いわば、AIに言葉の意味を教える「意味の地図」です。

AIが言葉を取り違える3つのパターン

要点

AIが取り違える3つのパターン

別の名前

同じものなのに、表ごとに名前がちがう

似ている別物

名前は似ているのに、ちがうもの

数え方

「個」で数える表と「箱」で数える表

AIが言葉を取り違えるパターンは3つあります。1つ目は、先ほどのように、同じものに表ごとに別の名前が付いているパターン。2つ目は、名前は似ているのに、実は別のものというパターンで、たとえば「抹茶大福」と「抹茶シェイク」です。3つ目は数え方の違いで、ネットショップは6個入りの箱で数えています。

人は事情を知っているので読み替えられますが、AIが見るのは表の文字だけです。AIが「たぶん同じ商品だろう」と気づくこともありますが、それは推測であり、聞き方しだいで答えが変わることもあります。お店の数字に使うには、「この3つは同じ」とはっきり決めて渡す必要があります。

オントロジーとは何か

要点

オントロジーという言葉

哲学では

「何が存在するか」を考える学問

コンピューターでは

何があって、どうつながるかを書いたもの

出典: Gruber(1993)ほか

オントロジーは、もともと哲学の言葉で「存在論」、つまり「何が存在するか」を考える学問を指します。コンピューターの分野では、1993年に研究者のグルーバーが「概念化の明示的な仕様」と定義したことが広く知られています。[s1]ある分野に「どんなものがあって、どうつながるか」を決めて書いたもの、と考えると分かりやすいでしょう。

売上の表に意味を付ける(イメージ)

概念マップ

売上の表に意味をつける(イメージ)

抹茶大福 レジ:120個
枝豆もち ネット:30箱
ZUNDA MOCHI 物産展:100個
抹茶大福
抹茶シェイク レジ:40杯
ネットの1箱は6個
400個 120+180+100

オントロジーの部品は4つです。1つ目は「種類」で、抹茶大福・和菓子・お菓子のような、ものの種類です。種類どうしは「抹茶大福は和菓子の一種」のように上下でつながります。2つ目は「もの」で、種類ではなく、具体的な1つの対象です。3つ目は「つながり」で、「お客様は和菓子を買う」のような関係です。4つ目は「ルール」で、たとえば「和菓子と飲み物の両方にはなれない」といった決まりです。[s2]

書き方の標準(W3C)

要点

書き方の標準(W3C)

RDF

つながりを3つ組で書く

OWL

種類とルール、推論

SKOS

用語集や分類

SHACL

データの形を確かめる

出典: W3C(OWL 2・SKOS・SHACL・RDF)

これらを書くための世界共通の標準もあります。つながりを3つ組で書くRDF、種類とルールと推論のためのOWL、用語集や分類のためのSKOS、データの形を確かめるためのSHACLです。[s2][s3][s4][s5]名前を覚える必要はありませんが、書き方が共通なので、別の会社やシステムとも意味を共有できます。[s2]

書いていないことまで分かる「推論」

つながりをたどって答えを見つける(イメージ)
つながりをたどって答えを見つける(イメージ)

オントロジーの大きな強みが「推論」です。意味の地図のどこにも「抹茶大福はお菓子」とは書いていなくても、「抹茶大福は和菓子」「和菓子はお菓子」という2つの定義から、コンピューターが自動で導けます。[s2]そのため「お菓子の売上は?」と聞かれても、抹茶大福がきちんと含まれます。

冒頭の売上の表も、オントロジーで直せます。まず、3つの表の書き方を「抹茶大福」という1つの種類に結びつけます。名前が似ている抹茶シェイクは飲み物で、抹茶大福とは別のものだと決めておきます。そして「ネットショップの1箱は6個」という数え方のルールを書きます。すると、レジの120個、ネットショップの30箱(180個)、物産展の100個を合わせて、400個という正しい答えになります(イメージ)。

売上の例を振り返ると(イメージ)

要点

売上の例をふりかえると(イメージ)

状況

表ごとに名前と数え方がちがう

質問

抹茶大福はいくつ売れた?

結果

3つの表の合計で400個

次の行動

来月の仕込みの量を決める

数が正しければ、来月の仕込みの量も決めやすくなります。大事なのは、AIの推測に任せるのではなく、言葉の意味を人が決めて渡していることです。

実は身近な存在 —— 検索・病院・金融・自動車

文字列ではなく「もの」(Googleの例)

概念マップ

文字列ではなく「もの」(Google の例)

タージ・マハル 検索された文字
建物 インドの有名な建物
音楽家 同じ名前の人
カジノ 同じ名前のお店

出典: Google 公式ブログ(2012年5月16日)

この考え方は、すでに身近なところで使われています。有名な人や場所を検索すると、結果の横に表示される情報の枠がその一例で、Googleが2012年に発表した「知識グラフ」という仕組みです。[s6][s7]合言葉は「文字列ではなく、もの」で、言葉を、人や場所といった「もの」として扱います。たとえば「タージ・マハル」が、建物なのか、同じ名前の音楽家やカジノなのかを見分けます。[s6]

数字

Google の知識グラフ(2012年の発表時点)

5億 以上
もの(人・場所・作品など)
35億 以上
事実とつながり

出典: Google 公式ブログ(2012年5月16日)

発表の時点で、知識グラフには5億以上のものと、35億以上の事実やつながりが含まれていたそうです。[s6]

さまざまな分野の「意味の地図」

要点

いろいろな分野の「意味の地図」

医療

SNOMED CT:病名や症状など36万以上の概念

金融

FIBO:金融の取り引きや会社の関係

自動車

Catena-X:部品やCO2のデータの意味

日本の行政

デジタル庁:氏名・住所などの共通語彙

出典: SNOMED International、EDM Council、Catena-X、デジタル庁

ほかの分野でも使われています。医療では、病名や症状など36万以上の概念を持つ医療用語の体系「SNOMED CT」が80か国以上で使われています。[s8]金融では「FIBO」、自動車では部品やCO2のデータの意味をそろえる「Catena-X」があります。[s9][s10]日本でもデジタル庁が、氏名や住所などの共通の語彙やデータの形を公開しています。[s11]

AIとオントロジーの組み合わせ方

得意なことが反対

比べる

得意なことが反対

生成AI
生成AI
  • 文章を読み書きするのが得意
  • 答えは「たぶん」
VS
オントロジー
オントロジー
  • 意味とルールがはっきり
  • 作るのに手間がかかる

生成AIは文章の読み書きが得意ですが、答えは確率で選んだ「たぶん」です。オントロジーは意味とルールがはっきりしていますが、作るのに手間がかかります。得意なことが反対なので、組み合わせると強くなります。組み合わせ方は3つあります。

① 言葉をそろえてから答える

流れ

言葉をそろえてから答える

質問「抹茶大福は何個?」
意味の地図で言葉をそろえる
意味の地図で言葉をそろえる
3つの表を数えて答える
3つの表を数えて答える

1つ目は、AIが答える前に、オントロジーで言葉をそろえる方法です。先ほどの売上の例がこれにあたり、AIに表と一緒に意味の地図も渡します。AIは地図で、抹茶大福の3つの書き方と、箱の数え方を確かめてから表を数えて答えるため、聞くたびに答えがぶれにくくなります。

② AIの答えをルールで確かめる(イメージ)

概念マップ

AIの答えをルールで確かめる(イメージ)

抹茶シェイク 新しい商品
和菓子
飲み物
和菓子と飲み物は別 両方にはなれない

2つ目は、AIが出した答えをルールで確かめる方法です。たとえば新商品の「抹茶シェイク」をAIに分類させると、名前に「抹茶」が付いているので「和菓子」と答えたとします。しかし、メニューの表では「飲み物」で、ルールは「和菓子と飲み物は別」です。すると推論の道具が矛盾を見つけ、人に確認を回します。[s2]

読み取った注文の形を確かめる(イメージ)

メールの注文を読み取る(イメージ)
入力
メール:抹茶大福を10個と、あと、いつものを
AIの答え
読み取りました:抹茶大福 10個、商品「いつもの」
状態
チェック:「いつもの」は商品の種類にない → 人に確認

データの形を確かめることもできます。メールで「抹茶大福を10個と、あと、いつものを」という注文が来たとき、AIが「いつもの」を商品として読み取っても、商品は地図の種類から選ぶ決まりなので、チェックで引っかかり、人に確認が回ります。[s4]

③ オントロジーづくりをAIに手伝ってもらう

グラフ

AIはオントロジーのルールを見つけられる?

満点 すべて正しく見つける
1.00
人と交友関係 FOAF の上下関係
0.64
音楽 音楽のオントロジー
0.22
分野で大きく変わる → 候補として使い、人が確かめる

出典: Bakker ほか「OntoAxiom」(2025年12月)の F1 スコア(1が満点)

3つ目は、オントロジーを作る作業をAIに手伝ってもらう方法です。2025年12月の研究「OntoAxiom」は、12種類のAIにオントロジーのルールを見つけさせ、成績を比べました。満点を1とする成績で、人と交友関係の分野では上下関係を見つける成績が0.64でしたが、音楽の分野では0.22と、分野によって大きく変わりました。[s17]研究者は、完全な自動化には性能が足りないものの、専門家を助ける候補としては価値があるとまとめています。[s17]AIに候補を出させ、人が確かめて決める、というのがいまのおすすめの形です。

AIエージェントとオントロジー

要点

AIエージェントとオントロジー(各社の説明)

Microsoft

顧客・注文などの意味を、人とAIで共有(プレビュー)

Palantir

AIが読めるもの・できる操作を、オントロジーで決める

出典: Microsoft Learn「What Is Ontology (Preview)?」、Palantir のドキュメント

会社の世界でも、AIのためにオントロジーを使う動きが広がっています。[s1][s6][s16]Microsoftは2025年11月に、会社向けのオントロジー機能をプレビューとして発表しました。顧客や注文などの意味を決め、人もAIエージェントも同じ言葉で使えるようにするものです。[s13][s19]Palantirも、AIが読めるデータや、実行できる操作をオントロジーで決めています。[s14][s15]2026年4月には、情報の「出どころ」を書きやすくする標準(RDF 1.2)づくりも進みました。[s3]AIが会社の中で働く時代だからこそ、意味の地図が見直されているのです。

用語集や文章検索との違い

言葉の意味を扱う3つの方法

比較表

言葉の意味を扱う3つの方法

項目用語集文章検索オントロジー
すること言葉の説明を書く似た文章を探す意味とつながりを決める
得意人が読んで分かるすぐ始められる同じ・別がはっきり
苦手機械はたどれない似ているだけの別物作る手間が大きい
ルールで確認××○

それぞれの特徴を整理(どれか1つではなく、組み合わせて使う)

言葉の意味を扱う方法には、用語集や文章検索もあります。用語集は言葉の説明を書いたもの、文章検索は社内の文書から似た文章を探してAIに渡す方法、オントロジーは意味とつながりを決めたものです。用語集は人が読みやすく、文章検索はすぐに始められます。一方で、用語集は機械がたどれず、文章検索は似ている文章は探せても、同じものか別のものかは決められません。

オントロジーは、同じか別かをはっきりさせ、ルールで確かめられる代わりに、作る手間がかかります。目的に応じて使い分けることが大切です。

注意点 —— ルールが間違うと答えも間違う

オントロジーにも注意点があります。推論はルールどおりに正しく進むため、ルールが間違っていれば、答えも間違います。たとえば「野菜でできたものは野菜」というルールを書くと、にんじんケーキまで野菜に分類されてしまいます。ルールは、人が確かめてから使う必要があります。

オントロジーの3つの注意点

要点

オントロジーの3つの注意点

大きくしすぎ

会社全体を、一度に作らない

AIまかせ

AIに勝手に書き換えさせない

説明の範囲

AIの頭の中までは説明できない

ほかにも、気をつけたいことが3つあります。1つ目は、いきなり会社全体の地図を作ろうとしないことです。大きすぎる地図は、作るのも直すのも大変なので、答えたい質問から小さく始めます。2つ目は、AIとの会話から地図を勝手に書き換えさせないことです。間違った言葉が地図に入ると、それを使うすべての答えに広がってしまいます。変更は提案として出し、人が確かめて記録を残すのが基本です。[s13]

3つ目は、オントロジーで説明できるのは「どの知識とルールを使ったか」までだということです。AIの頭の中で、なぜその言葉を選んだのかまでは説明できません。

オントロジーの始め方

オントロジーの始め方
  • AIに答えてほしい質問を、20〜50個書き出す
  • その質問に必要な言葉・つながり・ルールだけ決める
  • AIに候補を出させ、人が確かめる。変更は記録する

始めるときは、まずAIに答えてほしい質問を20〜50個ほど書き出します。次に、その質問に答えるのに必要な言葉・つながり・ルールだけを決めます。そして、AIに候補を出させ、人が確かめて決め、変更は記録に残します。

編集の道具 Protégé

整理カード

Protégé(プロテジェ)

無料・オープンソースのオントロジー編集ツール

開発 スタンフォード大学
できること 種類・つながり・ルールの編集
使われた例 WHOの病気の分類(Web版)

出典: Protégé 公式サイト

作るための道具として、スタンフォード大学が開発した無料・オープンソースの編集ツール「Protégé」があり、WHOの病気の分類(ICD-11)の作成にも、これをもとにした環境が使われました。[s12]

まとめ

オントロジーは、言葉の種類・つながり・ルールを決めた「意味の地図」です。[s1][s2]生成AIは推測が得意で、オントロジーは意味とルールが得意なので、組み合わせることで、AIの答えのぶれや取り違えを減らせます。

ただし、ルールが間違えば答えも間違います。AIに候補を出させて人が確かめて決め、答えたい質問から小さく始めて、変更の記録を残していくことが大切です。[s17]

実践のポイント・まとめ

POINT 1

AIに売上を聞いたら数がおかしい

表ごとに商品の名前や数え方が違うと、AIは一部しか数えないことがあります。「この3つは同じ商品」「ネットショップの1箱は6個」のように、意味とルールをAIにも分かる形で決めて渡しましょう。

POINT 2

オントロジーとは結局何か

言葉の種類・つながり・ルールを決めた「意味の地図」です。「抹茶大福は和菓子」「和菓子はお菓子」と決めておけば、「抹茶大福はお菓子」と書いていなくても自動で分かります。これを推論と呼び、AIの推測を決めた意味で支えます。

POINT 3

AIの時代に意味の地図はもう不要?

むしろ大事になっています。AIが「卵を使っていないお菓子」をすすめるとき、材料のルールと照らし合わせれば、ルール違反に気づいてすすめ直せます。ただし、アレルギーのような大事なことは、最後にお店の人にも確かめましょう。

POINT 4

検索結果の横に出る枠の正体

Googleが2012年に発表した「知識グラフ」で、言葉を文字列ではなく、人や場所といった「もの」として扱います。ものの種類とつながりを決めるこの考え方がオントロジーで、医療用語や金融、自動車の部品のデータでも使われています。

POINT 5

ルールを間違えるとどうなる?

推論はルールどおりに進むため、ルールが間違えば答えも間違います。「野菜でできたものは野菜」と書けば、にんじんケーキまで野菜になってしまいます。ルールは人が確かめてから使いましょう。

出典・参考文献

検証ファクト一覧を表示する(全25項目)
ID 確認した事実・仕様 出典 注意・補足
F1 情報科学のオントロジーは、ある分野の「概念(種類)」「関係」「ルール」を、機械が扱える形ではっきり書いたもの。Gruber(1993)の定義「概念化の明示的な仕様」がよく引かれる [s1]
F2 Gruber の目的は、AI システムの間で知識を共有・再利用するために、共通の語彙(クラス・関係・関数などの定義)を決めること [s1]
F3 OWL 2 は「形式的に定義された意味を持つ」オントロジー言語。クラス・個体・プロパティ・公理を組み合わせ、書いていないことを推論で導ける。2012年12月11日に W3C 勧告(第2版) [s2]
F4 部品:クラス(種類)・個体(具体的なもの)・プロパティ(関係・属性)・階層(上位/下位)・公理(ルール)・推論 [s2]
F5 データベースの表は「どう保存するか」、オントロジーは「何を意味するか」を共有する。同じ顧客を customer / client と別名で呼ぶ2つのシステムでも、意味の関係(同じ・含む・違う)を書ける [s13]
F6 RDF:「主語・述語・目的語」の3つ組でつながりを書く基本形 [s3]
F7 SKOS:用語集・分類体系(上位語・下位語・言いかえ)を書く標準。2009年8月18日 勧告 [s5]
F8 SHACL:データが決まった形(必須項目・型・個数)を満たすか検査する標準。2017年7月20日 勧告 [s4]
F9 RDF 1.2:2026年4月7日に「勧告候補」。3つ組そのものを別の文の中で使える(triple terms)ので、「この情報はどの資料から・誰が出したか」を書きやすくなる [s3] 2026年10月時点で正式な勧告ではない
F10 Google は2012年5月16日に「Knowledge Graph(知識グラフ)」を発表。「文字列ではなく、もの(things, not strings)」。発表時点で5億以上のもの、35億以上の事実と関係 [s6] 数字は2012年の Google の発表
F11 例:「タージ・マハル」が建物・音楽家・カジノのどれかを見分ける。検索結果の横に出る情報の枠 [s6]
F12 Knowledge Graph Search API は schema.org の型(Person・Place・Organization など)と JSON-LD を使う [s7]
F13 SNOMED CT:世界の医療用語の体系。国際版で36万以上の概念、80か国以上で使われている。概念・説明・関係でできている [s8] SNOMED International の説明
F14 WHO の国際疾病分類 ICD-11 は、WebProtégé をもとにした環境で作られた。Protégé は無料・オープンソースのオントロジー編集ツール(Stanford) [s12]
F15 FIBO:金融業界のオントロジー。金融の業務で扱う「もの」と、その関係を定義。OWL で作られ、EDM Council が運営 [s9]
F16 Catena-X:自動車業界のデータ連携。部品やCO2排出量のデータの「意味」を共通の意味モデル(SAMM のアスペクトモデル)で決める [s10]
F17 日本でもデジタル庁が「政府相互運用性フレームワーク(GIF)」で、氏名・住所などの共通語彙やデータモデルのひな形を公開(2022年〜、最終更新2026年3月) [s11]
F19 Microsoft Fabric IQ の Ontology(プレビュー):顧客・製品・注文などの概念、属性、関係、ルールを決め、会社のデータにつないで、人とアプリと AI エージェントが同じ語彙と文脈を使えるようにする [s13] 2025年11月の Ignite で発表 [s19]。2026年10月時点もプレビュー
F20 Fabric の ontology agent は、変更を「提案」として出し、人が確認してから反映する(proposal-first) [s13]
F21 Palantir:Ontology を組織の「operational layer」と説明。データを、現実の「もの(オブジェクト)・つながり(リンク)・操作(アクション)」に結びつける [s14]
F22 Palantir の Ontology MCP:AI エージェントがオブジェクトを読む・決められた操作を実行する・データを問い合わせる。できる操作はアプリ側の制限と権限でしぼる [s15]
F23 LLMs4OL(ISWC 2023):用語の種類分け・上下関係の発見・それ以外の関係の抽出を、9系統の LLM で評価(WordNet・GeoNames・UMLS) [s16]
F24 OntoAxiom(2025年12月):9つのオントロジー(3つ組 17,118・公理 2,771)で12の LLM をテスト。公理を1つずつ聞く方法が、まとめて聞くより良かった [s17]
F25 成績は分野で大きく違う:上下関係(サブクラス)の F1 は、人と交友関係のオントロジー(FOAF)で 0.642、音楽のオントロジーで 0.218 [s17]
F26 著者の結論:完全に自動化するには性能が足りない。ただし、専門家を助ける「候補」として価値がある [s17]

※ 記事中のお店の例(レジ・ネットショップ・物産展の売上の表、120個・400個、抹茶シェイク、メールの注文など)のやりとりや数値はイメージです。

※ 卵アレルギーの例はイメージです。アレルギーについては、必ずお店の人に確認してください。

※ 研究の成績(OntoAxiom の F1 スコア 0.64・0.22)は論文(2025年12月)の値で、AIの種類や条件によって変わります。

※ Google の知識グラフの数字は2012年の発表時点のものです。Microsoft Fabric の Ontology は2026年10月時点でプレビューです。各社の製品の説明は公式ドキュメントにもとづきます。

※ ロボットや画面のイラストはイメージで、特定の会社の製品やロゴとは関係ありません。