AI PCを買ってもChatGPTは速くならない —— NPUの役割と、普通のPCとの違い・買うべき人の条件

AI PCを買ってもChatGPTは速くならない —— NPUの役割と、普通のPCとの違い・買うべき人の条件

「AI PC」を買えば、ChatGPTやClaudeの答えも速くなる――そう期待する人は少なくありません。しかし、ChatGPTの答えを作っているのは手元のPCではなく、提供する会社のサーバーです。AI PCに積まれたNPUが働くのは、PCの中で動くAIの機能です。

本記事では、CPU・GPU・NPUの違い、Copilot+ PCの条件と「40 TOPS」の意味、RecallやライブキャプションなどAI PCでできることとその制約、ローカルLLMの速さを決めるメモリ帯域、買う前の落とし穴、使い方別の選び方を、Microsoftなどの公式情報をもとに整理します。速さは実機で測っておらず、公式の仕様と説明から整理しています。

情報は2026年10月20日時点のものです。料金・提供範囲・数値は変わることがあります。出典は記事末尾にまとめています。

▶ 解説動画(本編)
YouTubeで開く ↗
チャプター(クリックで再生位置へ移動)
この記事のポイント
  • AI PCはNPUを積んだPCのこと。ChatGPTなどクラウドのAIの答えの速さは、基本的に変わらない。
  • 「40 TOPS」はNPUの計算回数の最大値。メモリや対応ソフトも同じくらい大事。
  • 大きいローカルLLMを動かすなら、NPUよりGPUとメモリが先。
  • 「AI PC」という名前ではなく、使いたい用途に合わせて選ぶ。

基礎知識:AI PCの計算チップ(CPU・GPU・NPU)とメモリ帯域

「AI PC」とは、従来のCPU・GPUに加えて、AIの計算を少ない電力でこなす専用のチップ「NPU(Neural Processing Unit)」を積んだパソコンのことです。Microsoftが定めた「Copilot+ PC」では、NPUの性能が40 TOPS(1秒間に40兆回の計算)以上、メモリ16GB以上、ストレージ256GB以上が条件になっています。

よくある誤解が、「AI PCを買えばChatGPTやClaudeも速くなる」というものです。こうしたクラウドのAIは、答えを作る計算を事業者のサーバーで行っており、手元のPCは質問を送り、答えを受け取って表示しているだけです。そのため、PCに高性能なNPUを積んでも、クラウドのAIの答えの速さは基本的に変わりません。

NPUが力を発揮するのは、Recallやライブキャプション、ビデオ通話の背景ぼかしのように、PCの中で動くAIの機能です。また、手元で大きなAIモデル(ローカルLLM)を動かす場合は、NPUのTOPSよりも、モデル全体がメモリに収まるか(メモリ容量)と、メモリから1秒間に何GB読み出せるか(メモリ帯域)が速さを大きく左右します。

主要キーワード・技術用語の定義
NPU
AIの計算でよく使う、ビット数の少ない整数の計算を、少ない電力で続けることに特化したチップ。音声の字幕化やカメラ映像の処理など、常に動かすAIの機能に向く。
TOPS
チップが1秒間にできる計算の回数を兆単位で表した、理論上の最大値。実際の速さは、AIのモデルの形式や対応ソフトによって大きく変わる。
メモリ帯域
メモリからチップへ1秒間に送れるデータの量(GB/s)。1人で使うときのローカルLLMの出力速度の上限は、おおよそ「メモリ帯域÷重みの大きさ」で決まり、実際の速さはこれを下回る。

AI PCでもChatGPTが速くならない理由

ChatGPTの答えができるまで

流れ

ChatGPTの答えができるまで

PCで質問
サーバーで答えを作る
PCに表示

ChatGPTに質問すると、その質問はOpenAIのサーバーに送られ、答えはサーバーで作られます。[s19]手元のPCがしているのは、質問を送り、答えを受け取って表示することだけです。[s19]

ふつうのPC
ふつうのPC
  • 質問を送る
  • 答えはサーバーで作る
VS
AI PC
AI PC
  • 質問を送る
  • 答えはサーバーで作る

そのため、ふつうのPCでもAI PCでも、答えを作る場所は同じです。PCにNPUを積んでも、ChatGPTの答えができる速さは基本的に変わりません。[s19]では、AI PCの「AI」とは何を指すのでしょうか。

先に結論

要点

今日の結論

意味はある

PCの中で動くAI機能

名前だけで買うと

後悔するかも

先に結論を述べると、AI PCに意味がないわけではありません。PCの中で動くAIの機能には役立ちます。ただし、名前だけで選ぶと、期待した使い方では役に立たず後悔するおそれがあります。

CPU・GPU・NPUの違い

要点

パソコンの計算チップ

CPU
CPU

何でもこなす

GPU
GPU

同じ作業を大量に

NPU
NPU

AI専用で省電力

パソコンの中で計算するチップは、大きく3種類あります。お店にたとえると、CPUはレジも電話も何でも1人でこなす店長、GPUは同じ作業を大勢でいっせいに進める職人たち、NPUは決まった作業だけを担う専用の小さな機械です。NPUは、決まったAIの作業を少ない電力で続けるのが得意です。[s7]

比較表

CPU・GPU・NPU

項目CPUGPUNPU
たとえ店長職人の大群専用機械
得意何でも大量の並列AIの推論
AIの電力多い多い少ない

Microsoft サポートの説明(NPU は CPU・GPU より省電力)

Microsoftも、NPUはCPUやGPUより省電力で、AIの処理に向いていると説明しています。[s7]AI PCとは、このNPUを積んだPCの呼び名です。

Copilot+ PCの条件

数字

Copilot+ PC の条件

40 TOPS以上
NPUの性能
16 GB
メモリ
256 GB
ストレージ

Microsoft サポート(Click to Do・Recall)のシステム要件

その中でMicrosoftが定めた基準が「Copilot+ PC」です。NPUの性能が40 TOPS以上、メモリ16GB、ストレージ256GBが条件になっています。[s2][s3]

40 TOPSとは、どんな数字?

TOPSは、1秒間に何兆回の計算ができるかを表す数字で、40 TOPSなら40兆回です。[s1]ただし、これはNPUの計算の最大回数であって、ChatGPTの速さを表す数字ではありません。[s1][s19]しかも、いちばん良い条件での最大値で、AMDも「ふつうの使い方での値とは限らない」と注記しています。[s17]

各社が発表したNPUのTOPS

グラフ

NPUのTOPS(各社の発表の最大値)

Intel Core Ultra 9 386H NPUの最大
50
AMD Ryzen AI 400 モバイル版の最大
60
Snapdragon X2 Elite Qualcomm・最大
85
どれも40を超える。でも会社の発表の最大値

Intel・AMD・Qualcomm の公式(2026年)。実測ではない

最近のチップのNPUは、各社の発表ではIntelが50、AMDが最大60、Qualcommが最大85で、いずれも40を超えています。[s14][s15][s16][s17]とはいえ、この数字が大きいほどAIが速いとは限りません。

AI PCでできること

Recall —— 見た画面を言葉で探す

手順

AI PCの主な機能

STEP 1
Recall

見た画面を探す

STEP 2
ライブキャプション

音声を字幕に

STEP 3
Cocreator

ペイントでAIが描く

STEP 4
Click to Do

画面の文字を操作

STEP 5
Studio Effects

ビデオ通話の補正

Microsoftが紹介しているAI PCの機能から、代表的な5つを見ていきます。[s2][s3][s4][s5][s6]1つ目のRecallは、以前に見たものを、思い出した言葉で探せる機能です。数秒おきに画面のスナップショットを保存し、あとから検索できます。[s3]便利な反面、画面を保存し続けることに抵抗を感じる人も多いでしょう。

要点

Recallの守り

暗号化

PCの中に保存

本人だけ

Windows Helloで確認

共有しない

Microsoftにも送らない

そのためRecallは、自分でオンにしない限り保存を始めません。保存した画面は暗号化してPCの中だけに置き、Windows Helloで本人だけが見られるようにして、Microsoftや第三者とは共有しません。[s3]会社や学校のPCでは、IT管理者が許可するまでRecallは外されています。[s3]空き容量50GB以上やデバイスの暗号化などの条件があり、日本語は最適化の対象に含まれています。[s3]

ライブキャプション —— 音声を字幕にする

要点

ライブキャプション

字幕にする

会議・動画の音声

翻訳する

英語・中国語へ

ネットなし

PCの中で処理

2つ目のライブキャプションは、PCから流れる音声をリアルタイムで字幕にする機能です。[s4]英語の会議や動画を見る機会が多い人には便利です。

注意したいのは翻訳先です。約40の言語を英語に、27の言語を簡体字中国語に翻訳できますが、Microsoftのページには日本語への翻訳は書かれていません。[s4]英語の動画に日本語字幕を付ける使い方はできない、ということです。一方、日本語の音声を字幕にするだけなら、Copilot+ PCでなくてもWindows 11で使えます。[s4]

Cocreator —— ペイントでAIが絵を仕上げる

要点

Cocreator

描く

ざっくりした絵

文章

英語がおすすめ

AIが仕上げる

NPUでPCの中で生成

3つ目は、ペイントのCocreatorです。ざっくりした絵と文章から、AIが絵を仕上げます。[s5]絵を作る計算はPCの中のNPUで行い、枚数の制限もありません。[s5]

ただし、完全なオフラインではありません。安全のための確認をクラウドで行うため、Microsoftアカウントでのサインインとネットへの接続が必要です。[s5]

Click to DoとStudio Effects

要点

あと2つ

Click to Do

画面の文字・画像を操作

Studio Effects

背景ぼかし・視線補正

残る2つのうち、Click to Doは画面の文字や画像を選んで操作する機能で、文章の要約や書き換えもできます。[s2]Studio Effectsは、ビデオ通話で背景をぼかしたり視線を補正したりする機能です。[s6]ただし、NPUが40 TOPSに満たないPCでは、使える効果が一部に限られます。[s6]

できること・気をつけること

比較表

できること・気をつけること

項目できること気をつけること
Recall言葉で画面を探す自分でオンにする
ライブ字幕英語の会議を字幕に翻訳先に日本語なし
Cocreator絵をAIで仕上げるサインインとネット
Click to Do画面の文字を操作要約は英語設定が条件

Microsoft の公式ページ(英語版)より。2026年10月20日に確認

5つの機能を、便利な点と気をつける点に分けて整理すると、この表のようになります。[s2][s3][s4][s5]Click to Doの要約や書き換えには、既定の言語が英語であることという条件もあります。[s2]AI PCが得意なのは、こうしたPCの中で動く小さなAIの機能だと言えます。

ローカルLLMは速くなるのか

クラウドのAI
クラウドのAI
  • 会社のサーバーで動く
VS
ローカルLLM
ローカルLLM
  • 自分のPCで動く

AIのモデルを自分のPCで動かす「ローカルLLM」なら、AI PCで速くなると思われがちです。しかし、ローカルLLMの速さを決めるのは、NPUのTOPSだけではありません。

やりたいことで、大事な部品が変わる

比較表

やりたいこと → 大事なもの

項目やりたいこと大事なもの
ChatGPTを使うChatGPT・Claude回線・サービス側
字幕・背景ぼかしAIの機能対応アプリ・NPU
小さいLLM省電力で動かす対応ソフト・NPU
大きいLLM速く動かすGPU・メモリ
画像・動画生成大量に作るGPU・VRAM

Microsoft Learn・NVIDIA の説明から整理

やりたいことによって、大事な部品は変わります。[s1][s8][s13]ChatGPTやClaudeを使うだけなら、回線とサービス側の性能で決まります。AIの字幕や背景ぼかし、小さいLLMを省電力で動かす用途では、対応ソフトとNPUが大事です。一方、大きいLLMを速く動かすなら、GPUとメモリが重要になります。[s13]

NPUがなくても動く

流れ

Foundry Localの動き方

PCを調べる
NPU・GPUがあれば使う
なければCPUで動く

そもそも、ローカルLLMはNPUがなくても動きます。MicrosoftのFoundry Localは、NPUやGPUがあれば使い、なければCPUで動きます。Copilot+ PCは必須ではありません。[s8]

速さと、入るかどうか

要点

ローカルLLMの2つの問題

速さ

メモリから読む速さ

入るか

メモリの容量

ローカルLLMで問題になるのは、速さと、そもそもメモリに入るかどうかの2点です。AIは答えを少しずつ作るたびに、自分の中身(重み)をメモリから読み直します。そのため、速さはメモリから読み出す速さ、つまりメモリ帯域で決まりやすくなります。[s13][s20]

速さの上限の試算

グラフ

速さの上限の試算(4GBのAI・1秒に出せる量)

帯域100GB/s 例:ふつうのノートPCのメモリ
約25
帯域400GB/s 例:帯域が広いPC
約100
帯域1,000GB/s 例:高性能GPUのメモリ
約250
帯域が10倍なら、上限も10倍

試算(帯域÷4GB)。帯域の値はイメージ。実際の速さは、これを下回る

1人で使うときの速さの上限の目安は、メモリ帯域をAIの重みの大きさで割った値です。[s20]例として、重みが4GBのAIを帯域100GB/sのメモリで動かすと、上限は1秒に約25トークンになります。トークンはAIが出す文字のかたまりの単位で、実際の速さはこの上限を下回ります。[s20]メモリ帯域はTOPSとは別の数字で、ローカルLLMではこちらが効きます。[s13][s20]

16GBのPCにAIは入るか

容量・メモリ構造

16GBのPCに、AIは入る?

OS・アプリ 約6GB
小さいAI(4B級) 約4GB
中くらいのAI(9B級) 約7GB
gpt-oss(20B) 約14GB

OS・アプリはイメージ。AIの大きさは Ollama のモデル(2026年10月20日)

そもそもメモリに入らなければ、AIは動きません。メモリ16GBのPCで、OSやアプリが約6GBを使うとします(イメージ)。約4GBの小さいAIや約7GBの中くらいのAIは入りますが、約14GBあるgpt-ossの200億パラメータ版は入りません。[s18]

ローカルLLMでのNPUとGPUの役割

比較表

ローカルLLMでの、NPUとGPU

項目NPUGPU
向くAI小さいAI大きいAI
強み省電力速さ・メモリ
例字幕・Click to DoローカルLLM・画像

Microsoft Learn(Phi Silica など)・NVIDIA の説明から整理

NPUは小さいAIを省電力で動かすのが得意で、大きいAIにはGPUとメモリが向いています。[s1][s11][s13]Microsoftが組み込んでいる小さな言語モデル「Phi Silica」も、Copilot+ PCではNPUで動きます。[s11]なお、ここでの整理は公式の仕様と説明にもとづくもので、実機で速さを測ったものではありません。

「AIを動かしたいからAI PCを買う」のは、順番が逆です。まず、どんなAIを、どのソフトで動かしたいかを決めることが先です。

買う前の3つの落とし穴

手順

AI PCの落とし穴

STEP 1
対応ソフト

NPUを使えるとは限らない

STEP 2
TOPSだけで比べる

最大値の数字

STEP 3
バッテリー

長持ちとは限らない

1つ目の落とし穴は、「AI PCならどのソフトでもNPUが使える」という思い込みです。NPUは、使うソフトがNPU向けに作られていないと働きません。[s1]

流れ

NPUで動かすまで

AIのモデル
NPU向けに変換
NPUで動く

しかもNPUは、ビット数の少ない整数の計算が中心のため、AIのモデルをNPU向けに変換する必要があります。[s1]いま使っているAIツールが自動的にNPUで速くなるとは限らないので、使いたいソフトがNPUに対応しているかを買う前に確かめましょう。

TOPSのほかに見るもの

要点

TOPSのほかに見るもの

対応モデル

動かしたいAIは?

メモリ容量

AIが入る?

メモリ帯域

読み出す速さ

実際の速さ

測った結果

2つ目は、TOPSだけで性能を比べることです。[s13][s17]TOPSは最大値で、ふつうの使い方での値とは限らないとメーカー自身が書いています。[s17]見るべきなのは、動かしたいAIに対応しているか、メモリの容量と帯域、そして実際に測った速さです。

バッテリーは使い方しだい

要点

Microsoftの説明

NPUは省電力

CPU・GPUより

一日じゅう持つ

会社の説明

3つ目は、「AI PCならバッテリーが長持ちする」という思い込みです。[s6][s7]Microsoftは、NPUが省電力で「一日じゅう持つ」と説明していますが、これは会社の説明です。[s1][s7]サポートページには、一部のPCではカメラの効果をオンにすると性能やバッテリーに大きく影響する、という注意も書かれています。[s6]持ち時間は、画面の明るさやバッテリーの容量、使う作業によっても変わります。

日本の利用者がとくに気をつけること

要点

日本の人が気をつけること

Arm版のWindows

Snapdragon搭載機

日本語の条件

機能で使えない所も

日本の利用者がとくに気をつけたい点も2つあります。1つは、Snapdragonを積んだPCが「Arm版のWindows」で動くことです。ふつうのWindowsのアプリはエミュレーションという仕組みで動かせますが、対応するのはアプリだけで、ドライバには対応していません。[s12]ドライバが必要な周辺機器は、Arm版に対応しているかを買う前に確かめましょう。[s12]

もう1つは日本語の条件です。Click to Doの要約や書き換えは既定の言語が英語であることが条件で、Cocreatorも英語の文章に最適化されています。[s2][s5]すべての機能がそうではありませんが、使いたい機能が日本語で使えるかは、買う前に確かめておくのが安全です。

買うべき人・いらない人

使い方別に、まず見るところ

比較表

4タイプ別:まず見るところ

項目まず見るNPUの出番
普段使い価格・メモリなくてもよい
ビジネスNPU・メモリ16GB字幕・通話
AI開発GPU・メモリあれば便利
動画・画像GPU・対応ソフト一部の機能

ここまでの整理(Microsoft・NVIDIA の説明)から。機種のおすすめではありません

使い方で4つのタイプに分けて考えます。[s1][s2][s13]ChatGPTやWebが中心の普段使いなら、普通のPCで十分なことが多いでしょう。英語の会議や通話が多いビジネス用途なら、Copilot+ PCが向いています。[s4][s6]ただし、会社のPCではRecallなどの機能が管理者の設定しだいです。[s3]

AI開発ではGPUとメモリが先で、NPUはあれば便利という位置づけです。[s13]動画編集やAIでの画像・動画の生成も、GPUと対応ソフトが大事になります。

買う前の確認

手順

買う前の確認

STEP 1
使いたい機能を決める

日本語で使える?

STEP 2
メモリとGPUを見る

TOPSだけで決めない

STEP 3
今のPCと比べる

本当に不満がある?

買う前には、まず使いたいAIの機能やソフトを決め、それが日本語で使えるかを確かめましょう。次に、TOPSだけで決めずに、メモリの量とGPUを見ます。そのうえで、いまのPCと比べて本当に不満があるのかを考えると、必要な買い物かどうかが見えてきます。

まとめ

AI PCは、NPUを積んだPCのことです。ChatGPTのようなクラウドのAIは答えをサーバーで作るため、AI PCにしてもその速さは基本的に変わりません。[s19]「40 TOPS」はNPUの計算回数の最大値で、メモリや対応ソフトも同じくらい大事です。[s1][s17]大きいローカルLLMを動かすなら、まずGPUとメモリを見ましょう。[s13]

大切なのは、AI PCかどうかではなく、やりたいことに合うCPU・GPU・NPU・メモリを選ぶことです。名前ではなく用途で選ぶことが、後悔しないためのいちばんの方法です。

実践のポイント・まとめ

POINT 1

そのAIは、PCの中で動いている?

Wi-Fiを切ってみて、それでも動けばPCの中で動くAI、止まればネットの先のAIです。ただし、ペイントのCocreatorのように、計算はPCの中でも安全の確認にネットが要るものもあります。

1分のショート動画で見る
POINT 2

CPU・GPU・NPUの違い

CPUは何でもこなす係、GPUは同じ計算を大量にこなす係、NPUはAIの計算を省電力でこなす係です。大きいAIを速く動かすならGPUとメモリが先で、NPUは字幕のような小さなAIに向いています。

1分のショート動画で見る
POINT 3

40 TOPSならAIは何でも速い?

TOPSはNPUの計算回数の最大値にすぎません。速さを見るなら、ほかに、使うソフトがNPUに対応しているか、AIが入るメモリの量と読み出す速さも確かめましょう。

1分のショート動画で見る
POINT 4

自分のPCにNPUはある?

タスクマネージャーの「パフォーマンス」を開くと、NPUのあるPCならNPUの使用率が一覧に出ます。Copilot+ PCの機能を使うには、NPUが40 TOPS以上などの条件があります。

1分のショート動画で見る

出典・参考文献

検証ファクト一覧を表示する(全24項目)
ID 確認した事実・仕様 出典 注意・補足
F1 ChatGPT は OpenAI のサーバーにつないで使う。通信が不安定だと「サーバーにつながらない」というエラーになる [s19] 答えを作る計算はサーバー側。「基本的に」をつける
F2 Foundry Local は、アプリがすべてデバイスの中で動き、クラウドに頼らない。データが端末の外に出ず、ネットなしでも動く [s8]
F3 Copilot+ PC は、1秒に40兆回(40 TOPS)以上の計算ができる NPU を積んだ Windows 11 のパソコン。リアルタイム翻訳や画像生成のようなAIの処理が目的 [s1]
F4 Copilot+ PC の条件:40 TOPS の NPU・メモリ16GB・8つの論理プロセッサ・ストレージ256GB [s2] [s3]
F5 NPU は CPU・GPU より省電力で、AIの処理が得意。CPU・GPU を別の仕事に空けられる [s7] Microsoft の説明
F6 Windows 11 は処理を、CPU・GPU・NPU のいちばん合うところに割り振る [s1]
F7 NPU は、ソフトが NPU 向けに作られていないと使えない。NPU は INT8 のような低いビット数の整数の計算が中心なので、AIのモデルは変換(量子化)が必要 [s1] 「従来のAIツールが自動でNPUで速くなる」わけではない
F8 TOPS は「1秒に何兆回の計算か」の最大値。AMD は「最適な条件での最大値で、ふつうの使い方の値とは限らない」と注記している。Intel は「NPU Peak TOPS (INT8)」と書いている [s16] [s17]
F9 NPU の TOPS(各社の発表):Intel Core Ultra 9 386H は50、AMD Ryzen AI 400(モバイル)は最大60、Qualcomm Snapdragon X2 Elite は最大85 [s14] [s15] [s16] [s17] 会社の発表の値。実測ではない
F10 タスクマネージャーで NPU の使用率が見られる(NPU のあるPCで) [s1]
F11 Recall は、画面のスナップショット(数秒おき)を保存して、思い出した言葉で探せる機能。オプトイン(自分で許可しないと保存しない)。スナップショットは暗号化してPCの中に保存、Windows Hello で本人だけが見られる。Microsoft や第三者には共有しない。保存・一時停止・削除は自分で選べる [s3]
F12 Recall の条件:Copilot+ PC・40 TOPS・16GB・256GB・空き50GB・デバイスの暗号化(BitLocker)・Windows Hello の強化サインイン。最適化された言語に日本語が入っている。会社・学校のPCは、IT管理者が許可するまで Recall は外されている [s3]
F13 ライブキャプション:Windows 11 22H2以降で、音声を字幕にできる(Copilot+ でなくても)。Copilot+ PC(24H2以降)だと、約40の言語を英語に、27の言語を簡体字中国語に翻訳できる。日本語は「字幕にできる言語」「翻訳元」に入っているが、翻訳先は英語と中国語(簡体字)だけ。処理は端末の中で、ネットなしでも字幕が出る [s4] 「日本語に翻訳」ではない
F14 ペイントの Cocreator:NPU で画像をPCの中で作る(枚数の制限なし)。ただし Microsoft アカウントでサインインして、ネットにつながっている必要がある(安全のための確認をクラウドで行う)。プロンプトは英語に最適化。入力画像・作った画像は保存しない。プロンプトと端末・ユーザーの識別子は、不正の防止のため集める。作った画像には AI 製の印(C2PA)が付く [s5] 「完全オフライン」ではない
F15 Click to Do:画面の文字や画像に対して操作を出す(Windowsキー+クリック、またはWindowsキー+Q)。画面の解析はPCの中。「要約・箇条書き・書き換え」のような賢いテキスト操作は、Phi Silica(小さい言語モデル)と NPU で動く。ただし既定の言語が英語・10語以上を選択・Microsoft か Entra のアカウントでサインイン、が条件 [s2]
F16 Windows Studio Effects:ビデオ通話で、自動フレーミング・視線の補正・背景ぼかし・音声フォーカスなど。NPU が要る。40 TOPS を超える NPU だと全部、40 TOPS 未満だと一部だけ。一部のPCでは、カメラの効果をオンにすると、性能やバッテリーに大きく響くことがある [s6]
F17 Copilot+ PC は「一日じゅう持つバッテリー」をうたっている(Microsoft の開発者向けガイドの説明) [s1] 会社の説明。実際は使い方しだい
F18 Foundry Local(Microsoft の、ローカルでAIを動かす部品)は、CPU・GPU・NPU のうち、あるものを自動で選ぶ。GPU も NPU もなければ CPU で動く。Copilot+ PC は必須ではない。扱うモデルは、gpt-oss・Qwen・DeepSeek・Mistral・Phi・Whisper など [s8]
F19 Windows ML は、NPU・GPU・CPU で、手元のAIのモデルを動かす Windows の部品(ONNX Runtime ベース)。合うものを Windows が選んで更新する —
F20 Phi Silica(Microsoft の組み込みの小さい言語モデル)は、Copilot+ PC では NPU で動く。Copilot+ でない Windows 11 でも、対応する GPU(NVIDIA GeForce RTX 30シリーズ以降・VRAM 6GB以上など)で動く(ページには試験段階の条件がある) [s11]
F21 AIのモデルの実行は、メモリ帯域(メモリから重みを読む速さ)で決まることが多い。量子化で小さくすると、同じ帯域でより多くのパラメータを読める [s13] NVIDIA の説明
F22 文章を1つずつ出す段階は、メモリ帯域で決まる。1人で使うときの速さの上限の目安は「メモリ帯域 ÷ 重みの大きさ」(例:重み16GB・帯域3.35TB/s の GPU で約210トークン/秒)。実際はキャッシュの読み出しなどで下回る [s20] 上限であって予測ではない
F23 Ollama のモデルの大きさ(2026年10月20日):qwen3.5:4b は3.3〜4.0GB、qwen3.5:9b は6.6〜7.6GB、gpt-oss:20b は14GB、gpt-oss:120b は65GB [s18]
F24 Windows 11 on Arm(Snapdragon の Copilot+ PC)は、x86・x64 のアプリをエミュレーション(Prism、Windows 11 24H2)で動かす。エミュレーションはユーザーモードだけで、ドライバには非対応(カーネルモードの部品は Arm64 で作る必要がある) [s12]

※ イラストは説明のためのイメージ(生成)で、特定のメーカー・製品・ロゴとは関係ありません。

※ 機能や条件は、Microsoft の公式ページ(英語版)を2026年10月20日に読んで整理しました。買う前に最新の説明を確認してください。

※ TOPS(Intel 50・AMD 最大60・Qualcomm 最大85)は各社の発表の最大値で、実測ではありません。バッテリーの話も Microsoft の説明です。

※ 速さの上限の試算(帯域100・400・1,000GB/s、AI 4GB)と「OS・アプリ約6GB」はイメージです。実際の速さは機種・使い方で変わり、本記事では測っていません。